読書

知っておいて損はない「人生のなかでの幸せのどん底」

こんにちは、りょういちです。

今回は『残酷すぎる幸せとお金の経済学』佐藤一磨・著 プレジデント社をご紹介。

著者は拓殖大学政経学部教授。経済の専門家であり一児の父である著者がお金、性別、結婚、子どもの有無などで幸福度はどう違うのかを、さまざまな論文、研究結果をもとに分かりやすく紹介しています。

「何が幸せかなんて人それぞれで違うからどうやって幸福度を調べるのだろう」とまず疑問に思いました。そこが一番気になるところでしたが、ちゃんと信頼できる調査をしており、なかなか興味深い結果だらけ。

なかでもブログのタイトルに書いた「人生の中での幸せのどん底」は、研究結果によると平均的に見て、48.3歳のときにやってくるのだとか。国によってやや差がでますがだいたい50歳前後に集中していることが分かっています。

他にも
・男性と女性ではどちらの幸福度が高いか
・子どものいる女性ほど幸福度が低いのはなぜ?
・夫は妻より幸せになれない
・幸福度を大きく低下させる要因は?

など、残酷だけどおもしろい内容がたくさんあります。

学びになったところ

これまでの研究では、年収が約7.5万ドル(約1000万円)になると幸福度は頭打ちとなり、それ以上年収が増えても幸福度が上昇しないと指摘されていた。
しかし、2023年に公表された研究では、年収の増加とともに幸福度が伸び続けることが分かった。

日本では管理職に昇進しても、幸福度は上昇していなかった。これは、仕事から得られる報酬と負担が相殺し合っているためだと考えられる。

夫が管理職だと妻の幸福度が高く、逆に夫が働いていないと妻の幸福度が低くなっていた。

近年、妻のほうが学歴の高い夫婦が増えている。ただし、妻のほうが学歴の高い場合、妻の幸福度は相対的に低い。

男女とも自分より若い相手と結婚すると、結婚の満足度が高くなる。ただし、この満足度上昇の効果は10年で消えてしまう。

子どものいる女性ほど生活満足度が低くなるのは、金銭的負担、夫婦関係の悪化、重い家事・育児負担が影響していると考えられる。

女性は、確かに離婚直後に幸福度が低下するものの、低下は一時的で、その後回復する傾向がある。離婚による影響は、相対的に男性で大きい。

夫婦間の幸福度格差、とくに妻の幸福度が低い場合にのみ離婚につながる。このため、「妻の尻に敷かれる」という夫の行動は、夫婦関係を円満にする上で、意外といい戦略だと言える。

最後に

幸福度は50歳前後まで下がっていきますが、お金があれば幸福度の落ち込みは小さく済むもしくは下がらないということも分かりました。お金の力は絶大です。

自分の性別、年齢、ライフステージに当てはめて読むと不安になる方もいると思いますが、どこか諦めがつくのも事実。お金を稼げば絶対幸せになれるものでもないので、自分にとって何が幸せなのかを考えて、それをちゃんと知ることが大事だなと思いました。


<目次>
序章 「幸せ」の測り方
第1章 幸せはお金で買えるか-お金と幸せの経済学
第2章 出世すると幸せになれるか-仕事と幸せの経済学
第3章 結婚したら幸せになれるのか-結婚と幸せの経済学
第4章 「子どものいる女性ほど幸福度が低い」のはなぜか-子育てと幸せの経済学
第5章 離婚したら不幸せになるのか-離婚と幸せの経済学
第6章 「家族ガチャ」で人生は変わるのか-きょうだい構成と幸せの経済学
第7章 なぜ日本の男性は幸福度が低いのか-男と女の幸せの経済学
第8章 「幸せのどん底」は何歳でやって来るのか-年齢と幸せの経済学
終章  経済学が導き出す「幸せの条件」とは
おわりに


■編集後記
虫歯の治療がやっと終わりました。予想以上にお金がかかってしまいましたが、手遅れにならずに済んで本当に良かったです。ちなみに虫歯はすべて奥歯。これからは奥歯を丁寧に磨いて虫歯ゼロを目指します。