読書

ありふれた瞬間に優れた判断をするためには。

こんにちは、りょういちです。

今回は『クリア・シンキング 大事なところで間違えない「決める」ための戦略的思考法』シェーン・パリッシュ著 日経BPをご紹介。

著者は諜報機関勤務の経験がある起業家で、知識と意思決定に関するブログ『Farnam Street(ファーナム・ストリート)』の創設者として有名。認知科学、心理学、経済学、そして歴史など、さまざまな分野の知識を探求し、その内容を人々がより良い意思決定をするた
めに活用できるようにする活動をしているそう。

帯に書かれている通り、切れ味鋭く、抜群におもしろい内容で個人的今年買って良かった本No.1です。良い意思決定をするための本ですが読んでいてハッとさせられる金言がたくさんありました。

クリア・シンキングとは「怒りや不安、惰性などの人間的本能をコントロールしクリアな状態で思考すること」です。
クリア・シンキングを阻んでくる生物的本能や「デフォルト反応」にいかに振り回されないようにして、より良い未来のために正しい決断ができるかを細かく書いています。

クリティカルシンキングやロジカルシンキングなど思考法の本はたくさんありますが、この本はそれらの思考法以前に焦点を当てて書かれている本です。思考以前の問題としてまずはクリアな思考をするためのスペースを手に入れること。そのためにはどうすれば良いのか。そこが本書のひと味違うところです。

学びになったところ

だからより良い成果を出すための最初のステップは、「今は判断しなければならないときだ」と認識し、ひと呼吸おいてクリアに思考するためのスペースを生み出す訓練を積むことだ。

ひとくちに生物的本能といってもたくさんあるが、私の見るところ、人類の最も際立った特徴であり、最も危険なものは4つある。

さまざまな呼称があるが、本書では「感情デフォルト」「エゴデフォルト」「社会性デフォルト」「惰性デフォルト」と呼ぶことにしよう。

デフォルト反応をコントロールできる人は、実社会ですばらしい成果を発揮できる。怒りの感情や自尊心がないわけではないが、そうしたものに振り回されるのではなく、コントロールする術を心得ているのだ。

労せず手に入れた知識は、拙速な判断を招く。

まわりと同じことをしてれば、まわりと同じ結果しか出ない。ベストプラクティスは必ずしもベストな方法ではない。

自分の頭で考える意欲を持ち、他の誰もやってないことをやり、そのために愚か者に見えるリスクをとったとき、初めて変化は起きる。

大嫌いな仕事にとどまるのも、不幸な恋愛を続けるのも惰性ゆえだ。どちらのケースも次に何が起こるかだいたい予想できる。予想がかなりの確度で実現する状況には安心感があるのだ。

何かを「しない」という選択は「する」という選択と同じくらい重要なことが多い。人間の真価は、周囲に迎合せずに正しいことをするという選択をできるかどうかで決まる。

良い選択を積み重ねれば時間を味方につけられるのと反対に、悪い選択を積み重ねれば時間は敵になる。

偉人と凡人の違いの一つは、失敗にどう対処するか、失敗から学び、結果として成長するかにある。

どんなまずいことが起こりうるかあらかじめ考え、とりうる対応策を決めておく人は、計画どおりに事が運ばなかったときでも成功する確率が高い。

私たちが事実や情報だと考えているものの多くが、単なる意見、あるいはわずかな事実をたっぷりの意見と混ぜたものだ。

最後に

思考法の本ですが良い人生をおくるための方法論の本でもあります。ビジネスマンだけでなくすべての人が読むべき一冊だと感じました。

受験や就職、結婚など人生で大きな選択での決断はもちろん重要です。ですがそれよりも日常の何かを選択していることすら気づかないようなささやかな場面の方が大事。それに気づかせてくれました。大きな選択よりも小さな選択の積み重ねが今の自分を作っているということなんだなと。

2,200円と通常のビジネス本より少しお高めですがお値段以上の価値が間違いなくあります。ぜひ読んでみてください。


<目次>
はじめに
序章 日常のクリア・シンキングが未来を決める
第1部 クリア・シンキングの敵
第2部 強さを磨く-本能を手なづけ追い風に変える
第3部 弱さをコントロールする
第4部 決断する-クリア・シンキングの実践
第5部 本当に大切なものを追い求める
おわりに クリアシンキングの意義


■編集後記
3月も終わりが近くもう春は目の前ですね。今年は積雪が比較的少なく助かりました。寒さも和らぎ暖かくなってくると思うと気持ちも楽になります。あとは花粉症がひどくならなければ最高なのですが...。