読書

閉じた世界から外へ出るために自分だけの「思考軸」をつくろう。

自分にとっての軸はなにか?

何かを考える、判断するときに大切にしているポリシー、信念のようなものが自分にとっての軸なのでしょう。

「これもいいよ」「あれもいいよ」と情報があふれているこの時代でなにを選べばいいのか。まわりに言われるがまま生きていていいのだろうか。考えれば考えるほど分からなくなる。

そんなときに自分の中に軸があれば、何が正しくて何が間違っているのかを判断する基準になります。思考する際に前提となる条件があれば、どんなことにもブレることなく自分なりの判断ができるようになります。

「なにが自分の軸か?」「なにを自分の軸にしたらいいのか?」と考えている人におすすめの本が『思考軸をつくれ あの人が「瞬時の判断」を誤らない理由』です。ネット生命保険で有名なライフネット生命保険を創設した出口治明氏による著書。

本書のなかで気になったところをピックアップしました。

気になったところ

閉鎖的な社会、組織で常識や慣習に囚われていては革命を起こせない。変革を起こせるのは内にいながらもその価値基準に染まりきらない「自分の軸」をもった人だけです。

当たり前だと感じていた組織やシステムについて「本当にあるべき姿なのか」と根底から考え直し検証する必要がある。軸をもつことで閉じた世界から外に出ることは恐怖じゃなくなる。自分だけの思考のよりどころをもったとき、その人はそれまで内部と外部とを隔てていた境界を軽々と越えていき、何事にも囚われず、ものごとの本質を見極められるようになるのです。

軸=思考する際の前提条件。ゼロベースで考えろと言われても考える軸がなければ何が正しくて何が間違いか判断できない。これとこれを前提に考えるという項目が自分の中で固まっていればどんな事象に対してもブレることなく自分なりの判断を下せるようになるでしょう。

仮にでも結論を決めてしまえば、それがよかったのか悪かったのかを嫌でも考えるようになるので思考が深まります。極端な言い方をすれば、迷ったらコインを放り投げてその裏表で判断してもかまわない。なにもしないでぐずぐずしているより、ものごとは間違いなくよい方向に進むはずです。そうやって仕事や意思決定のスピードを上げていくと単位時間内にできることが増えていきます。つまり生産性があがるのです。

課題にも「鮮度」があって、もっとも集中できるのは取り組み始めた新鮮なときです。

スピードは、その人の生産性を決定づける重要な要因です。「力=質量☓加速度」というニュートン力学の公式は仕事にもそのまま当てはまるので、同じ量の仕事ならばスピードが速ければ速いほど、相手に与えるインパクトは強まります。「インパクト=仕事量☓スピード」なのです。

私のインプット方法は「最初は自分で選ばず、とにかく大量に取り込む」というものです。自分に役立つ情報だけを抽出することができればそれに越したことはないがなかなかそんな芸当はできない。それならば自分のアンテナにかすったものはとりあえず片っ端からインプットすると決めてかかるのです。

読書というのは食事と似ている。何を食べたか忘れても、栄養分は確実に体に吸収されてその人の骨や筋肉やエネルギー源になっている。これと同じように、読書で得たインプットはたとえその詳細を覚えていなかろうが、確実に脳に蓄積されており、その人が思考する際に使う軸の基礎を形作るのです。本というのは栄養ですから、たくさん読んでいれば自然と身につきます。

本でも人でも旅でも安住する場所を一度は捨て、新しいものに飛び込んでいくことが、深く多様なインプットを得るためのコツだと思っています。

仕事には必ず目的があることを理解し、まずはその目的を考え、次にその目的を達成するためのいちばんよい方法は何かを考えるようにすれば、仕事は自ずと楽しくなると思います。

この世はすべてトレードオフなのですから、何かをとれば何かを諦めざるを得ないのです。そして、それを十全に理解した人から順番に、次の行動に移れるようになるのだと思います。

何かを変えたいときに注力すべきは「意識」ではなく「行動」です。言い換えれば、適切な行動を起こさせるような「しくみ」が必要なのです。変化を起こすためのスローガンを叫んでいてもあまり意味はありません。

最後に

「なにを自分の軸にするのか」に答えはなく、自分で考えなければなりません。本書の中で出口氏が持つ5つの軸が紹介されているので参考になります。なかでも「すべてのものはトレードオフ」という軸は取り入れたいと特に思いました。何かを得れば何かを失う。当たり前のことですがなかなか受け入れられず判断に迷ってしまうことが多々あるので...。

自分の考えをしっかり持ちたい、意見に自信を持ちたいと思ってそのヒントになるかなと思い読んでみました。物事を考える前に「自分の軸はなにか」を考えて、軸をつくる。その軸をもとにして考えて判断、決断していく。

良いヒントをくれる本でした。


■編集後記

5月初日。GW中ですが旅行は行かずに掃除に力を入れてます。普段できないこまかいところを徹底的に。お部屋をゴールデンにします。