読書

自分らしく考える力をつけるために必要なことは「メモ」

考える力をつけたいと思っていてもなにをすれば考える力が身につくのかいまいち分からない。

自分なりの答えを出したいけどどうにも他の人と同じような答えになってしまって結局考えてない気がする。

自分オリジナルの考えを引き出してアウトプットするにはどうすればいいのか。

検索すればなんでも出てくる時代ですが、「自分だけの答え」を求められることは仕事でもプライベートでも多々あります。他人の出した答えに頼るよりも自分で考えて出した答えの方が良いのは分かるけど、どうやったらいいのでしょうか。

オフィス家具メーカーのコクヨでワークスタイルを調査、研究したりブランド戦略や組織風土改革を推進、ビジネススキルに関するセミナーや講演、動画配信など幅広くビジネスに携わっている下地寛也氏。

著書の『考える人のメモの技術ー手を動かして答えを出す「万能の問題解決術」』では、その答えは「メモ」にあるといいます。

メモは考える力を引き出す武器

メモというと「大事なことを忘れないようにするためのもの」ですが、それだけではありません。インプットした情報に自分の考えをミックスさせて自分の意見やアイデアを生む助けにもなってくれます。

つまり、自分の頭の中にある経験や価値観がメモにより引っ張り出されるのです。ただ大事なことだけメモしていても自分の考えは出てきません。知識は増えますが考える力がつかないので、「自分らしく考える」ために2つの習慣をつけましょう。

気づいたらメモ、考えながらメモ

ひとつは、普段から気づいたことをメモする習慣をつけること。インプットのメモ。そうすることでたくさんの情報の中から自分が良いなと思う情報を取捨選択できるようになります。情報の取捨選択をすることで「自分らしさ」というセンスが磨かれます。一冊本を読んでも何が良いと思ったか、何がいらないと思ったかはみんなそれぞれ違うものになるはずですから。

もうひとつは、紙の上にメモを書きながら考える習慣をつけること。アウトプットのメモ。この習慣がつけば自分らしい意見を持てるようになり、紙に書き出したものを組み合わせることで創造性も高まります。紙の上に思ったことを出していくことで「自分の考え」を可視化できます。

では、具体的にはどんなふうにメモをとっていけばいいのでしょうか。

インプットのメモ3つのポイント

①メモの基準を持つ

「活用したい情報」と「面白いと感じる情報」の2つを意識しましょう。

活用したい情報は、仕事や生活で試してみたい、知人との会話のネタにしたいといった情報です。

面白いと感じる情報は、すぐには使えないけどなんか良いなと思った情報です。ワクワクしたりドキドキしたり心に響いたりした情報をメモすることが自分らしさを磨くのに大切になります。

手当たり次第自分の気になったところをメモしていては自分にとって何が大事で何が大事じゃないかがわかりません。基準をもつことで情報の取捨選択ができるようになり、情報感度が磨かれていくのです。

②箇条書きで抜き書きする

大事だと思うところを全部メモするのではなく、箇条書きで抜き書きすることが大切です。だらだら丸写しするのではなく、箇条書きで要点をまとめることで情報を効率的に取り込めます。

箇条書きは1行15~27文字程度を目安にすると良いです。コピーライターの糸井重里氏は、文章の1行は27文字以内が読みやすいと言っています。基本は15~27文字程度にまとめることでシンプルでわかりやすいメモができます。

③気づきを加える

この情報は役立つな、面白いなと思ったらそこに自分が感じた「気づき」を加えましょう。たとえば「営業活動の参考になるな」「分かりやすい資料作りに使えそうだな」といった簡単なコメントでOK。情報に自分の気づきを足すと「自分ごと」になり、頭への染み込み方が違ってきます。

情報は「客観・事実」ですが、気づきは個人の「主観・解釈」です。自分の外にある情報に対して自分の中から出た気づきをメモすることでやっと自分ごとになり、知識として取り込めるようになるのです。いろいろメモしてるけどなかなかアウトプットにつながらないのは情報を自分ごとにできてないから。できるだけメモしたことには気づきを加えていきましょう。

以上がインプットのメモのポイント3つです。次はアウトプットのメモのポイントです。

アウトプットのメモ3つのポイント

現状をすべて見える化する

まずA4用紙を用意し、横にして使います。ノートではなくコピー用紙でOKです。ノートより安いし、書いた内容が気に入らなければすぐグシャッと捨てることもできます。

紙を用意したら、まずは考えるテーマをまず明確にして目立つように一番上に書きます。「毎日定時で帰るためはどうすればいいのか」「今より3万円月収を増やすには?」「考える力をつけるためには何が必要?」など自分が今から何を考えるべきなのか言語化してタイトルを決めましょう。

次に縦に2本線を引いて3分割します。左3分の1を「現状」、真ん中3分の1を「課題」、右3分の1を「打ち手」と分けます。ここで大事なのは課題や打ち手から考えないでまずは「現状」から書いていくことです。「今分かっていることは何か」をすべて書き出していく。事実を見える化することで考える方向性や問題点が浮かんで見えてきます。

自分の視点で課題を整理する

現状で分かってることを書き出したら、自分の視点を入れて情報を分類して課題を整理します。とはいえ何が課題なのかを特定するのはなかなか難しい。自分らしいアウトプットをするためにおすすめなのが「思いつくものを10個以上書き出して、その中から3個選ぶ」という方法です。10個以上メモしたら、大切そうだと思うものを3個選ぶ。これを繰り返す。

メモを書きながら「これは違うかな、もっと違う表現はないかな」と書き出す作業と選ぶ作業を同時にしてしまうのはよくありません。書き出すときは書き出すことに集中する、選ぶときは選ぶことに集中することが大切です。ある程度絞り込んだら再び絞り込んだ内容の詳細を書き出してまた選ぶという繰り返しで考えていくことで思考を広げ、深めていけます。

打ち手を構造化する

これまでに「現状」を書き出し、「課題」を整理してきました。それらを踏まえて「打ち手」を組み立てます。打ち手を組み立てるためのメモのコツは「マーク&コネクト法」です。ポイントは2つ。

  • キーワードを選んで強弱をつける(マーキングする)
  • キーワードの関係性を示す(コネクトする)

紙の上に自分がアウトプットしたいテーマに関すること、特徴やニーズ、課題などを書き出します。頭の中にあった言葉を書き出すとスッキリします。キーワードを一覧できるので思考に没頭できるようになります。

そして、紙の上に書き出した言葉を見て自分が重要だと思ったキーワードをぐるぐると囲みます。ちょっと気になる言葉にはアンダーラインや星マークをつける。このようにキーワードに強弱をつけます。キーワードにマーキングしたら、その中から大事だと思ったキーワードを矢印でつなぎます。自分が選んだ重要な点と点をつなぐことでシンプルな「打ち手」の構造ができあがってくるのです。

おわりに

考える力をつけるためには「メモ」が大きな力になってくれる。考える力はすぐに身につくものではないので、本書に書かれているインプットのコツ、アウトプットのコツをおさえて繰り返し実践していくのが良さそうです。

「自分らしく考えて、自分らしいアウトプットをする」

ネットで検索すればなんでも出てくる時代だからこそ、自分だけのアイデア、意見が価値を持ちます。うまくインプット、アウトプットができないと悩んでいる人には本書が力になってくれるでしょう。


■編集後記

今年初ブログ更新。去年より更新するためにブログを習慣化することが目標です。肩肘張らないで書くことを楽しんでいきたいですね。

コメディ映画『ビッグ・リボウスキ』(1998)鑑賞。とんでもないことに巻き込まれてるのに趣味のボウリングを全く辞めようとしない主人公たちの姿がシュールでめちゃくちゃ笑いました。